【第3回電聖戦・趙治勲vsコンピュータ囲碁解説】DolBaram戦とCrazyStone戦の結末は如何に!?
コンピュータ囲碁とプロ棋士との対局。
第3回電聖戦が3月17日に開催されました。
コンピュータ将棋の分野は既にプログラムがプロを凌駕しつつあり、手合いを組むにも環境的に難しくなりつつありますが、コンピュータ囲碁はまだまだプロに余裕があることもあってゲスト棋士がウルトラ豪華!!!
- 第一回:二十四世本因坊秀芳(石田芳夫九段)
- 第二回:依田紀基九段
そして第三回大会のゲスト棋士は
「二十五世本因坊治勲・趙治勲」や!!!
趙治勲と書いて「ちょうちくん」と読む。囲碁ファンなら知らない人はいないレベルのレジェンド的な棋士の一人。囲碁界の7大タイトル(棋聖・十段・本因坊・碁聖・名人・王座・天元)全てを獲得したこともある最強棋士の一人です。※7大タイトル獲得記録も歴代一位
スポンサーの力…おそるべし…
これからのコンピュータ囲碁の成長に願いを込めて、元コンピュータ囲碁開発者視点で本対局を解説してみようと思いまっせ。
電聖戦関係者の紹介
左から順に六人。
- 伊藤毅志助教
- 二十五世本因坊治勲
- 村松正和教授
- Remi Coulom(レミ・クーロン)
- 通訳のお姉さん?
- Lim Jaebun(イム・ジーボム)
せっかくなので紹介してみるよ。
伊藤毅志先生
伊藤先生は人工知能の研究をされている電気通信大学の先生の一人。国立のほうの電通大です。囲碁よりは将棋がお得意だったような記憶があります。
純粋に強い思考ゲームAIを開発するというよりは、認知科学とゲームを題材にした「人はどのように思考しているのか?」といった方向の研究をされていたイメージがあります。※間違っていたらスイマセン
気さくで優しい。
リンク:伊藤毅志研究室
二十五世本因坊治勲
歴代最強棋士の一人。
全盛期はマジで強すぎてヤバかった。
- 入段最年少記録(当時)
- 7大タイトル全制覇
- 7大タイトル獲得記録歴代一位
コンピュータ囲碁が模様の碁を好むのに対し、趙治勲先生の棋風は地に辛いコンピュータとは逆の棋風。※その為、僕は今回の対局がスゲー楽しみでした
趣味は将棋。
トークは軽快。
碁が弱くなっちゃいけないからと…
麻酔無しに手術を受けた話は有名。
髪型がぼさぼさで浮浪者っぽいですが全盛期は賞金ランキング常に一位で賞金だけで一億円を稼いでました。
リンク:趙治勲 – wikipedia
村松正和先生
伊藤先生と同じく電通大の先生。
囲碁が強くアマ高段者(七段格との噂)
メインは最適化関連の研究ですが、コンピュータ囲碁界にてモンテカルロ法が登場したことをきっかけに、コンピュータ囲碁の研究も手掛けるようになったと記憶しております。※間違ってたらスイマセン
電聖戦の予選でもあるUEC杯では、コンピュータ囲碁に精通しているプロ棋士の鄭銘瑝(テイメイコウ)九段の解説に対して、聞き手を務められたりもしていました。※鄭銘瑝九段は王銘琬九段の実弟
お茶目。
ボナンザで有名な保木さんの研究室とも学生研究室を共有しておられるそうな。※村松研の特任助教になられたのかな?
リンク:Muramatsu Lab.
Remi Coulom(CrazyStone開発者)
モンテカルロ囲碁のパイオニア。
CrazyStoneの開発者です。
CrazyStone開発当初はフランスの大学にて研究者をされていたと記憶していますが、先ほどレミのサイトを見てみるとフリーランスのプログラマになってました。
CrazyStoneはプレイアウト(モンテカルロ法によるシミュレーション)速度も速かったはず。プログラマとしてのレミの腕もかなり凄いみたいですね。
最強の囲碁という名でCrazyStone AIを詰んだ囲碁ソフトも販売されています。
ファンです。
リンク:最強の囲碁
リンク:Rémi Coulom’s Home Page
Lim Jaebun(Dolbaram開発者)
大会初参加で準優勝。
Dolbaramの開発者です。
今季のUEC杯では破れてしまいましたが加藤氏の開発するZen vs 武宮九段との対局にインスパイアされてコンピュータ囲碁の開発を始めたんだそうです。
出身は韓国。囲碁と言えば韓国はとても強いですから、韓国トッププロの棋譜なんかを学習に利用しているのでしょうか。今後の活躍が大いに期待されますな。
KGSのComputer Goルームをうろうろしてたら出あえるかも?Dolbaramの意味は「旋風」「石を願う」という意味が込められているんだそうです。
趙治勲 vs コンピュータ囲碁
趙治勲先生はコンピュータ囲碁との対局は今回が初めてだそうです。事前にコンピュータ囲碁同士の棋譜を見た感想は「コンピュータ囲碁は一局の間に波がある」とのこと。
これはモンテカルロ法を使ったコンピュータ囲碁の特徴になりますが、優勢になると緩い手(すごく手堅い手)を打ちに行くという特徴があります。それを棋譜から感じたのでしょう。
おっ!?…これはもしや…??
先生はコンピュータ囲碁の特徴を全く知らないっぽい!?
※もしかするとココが勝機につながる?
ちなみに手合いは以下の通り
- 4子局:Dolbaram戦
- 3子局:CrazyStone戦
先生曰く、4子局は指導碁っぽくなるから僕はよく負ける。但し、3子局は負けたことがないとのこと。プロにとって一隅あるかないかは1子以上の差があるみたいですね。
これからは「コンピュータキラーの趙治勲でよろしくお願いします」との事。
ちなみに解説は依田先生に吉原先生。
※梅沢由香里先生の方が分かるかな
今日は着物じゃなくてスーツですな。
4子局:Dolbaram戦
1戦目は4子局。
実は置き碁にはマナーがありまして3子局の場合は白番の上手が打ちやすいように左上隅を空けます。今回は4子局ですから最後に左上に打つのが順番的に正しい置き碁のマナー。このDolbaramの開発者さん自身も囲碁プレイヤーかなぁ~と手つきを見てて感じました。
前大会にてコンピュータ囲碁との対局経験のある依田先生曰く、この時点で「白は勝てない」とのこと。コンピュータ囲碁を相手にする場合は大風呂敷を広げて攻め込ませるくらいじゃないとダメらしい。
- 吉原先生「趙先生に教えてあげなかったんですか?」
- 依田先生「そこまでの仲じゃない」
- 会場「笑」
46手(黒10三)まで進んだところ。
右上隅の切り違いで黒が当ての手順を間違えて白が得したものの、8四の覗きから白が団子石状態に。依田先生曰く、これは白がかなり苦しい状態とのこと。3十二に打ちこまれたら完全に終わると。
開発者のイムさんは初段ほどの腕前らしい。
尊敬している棋士は趙治勲先生らしいですよ。
※依田先生「ホントかなぁ…」
趙治勲先生も出身は韓国。日本で活躍する韓国出身のプロ棋士ということで韓国内でも趙治勲先生は知名度があるみたいですね。このあたりで趙治勲先生が頭を掻きだしたからので本気モードになったかも?
71手まで進んだところ。
左下隅で白がポン抜いた場面。
まだまだ黒が優勢ですが中央黒石を攻められる可能性が出たので若干勝機が出たか?ちなみに趙治勲先生は3分くらいしか使ってません。
黒13七・白9九まで進んだ101手目。
黒の切りがやや無理気味でここで白に勝機か?と思いつつも手数を数えると白がかなり短く厳しいかもしれないとのこと。
でもって実際に攻め合いになったがコンピュータの読みが正確。黒が中央の白石一団を取りきった形です。白は投げ場を求めて119手目で左下を這って攻めを狙う。
盤面がらりと変わりまして161手目・白15十五。
下辺黒一団を全取り狙いでしょうか。
ちなみに左下は白先黒死の状態。
白7十八で黒はおそらく死んでいるだろうとのこと。
230手目。
左下がコウになるもコウ立てが足りずに黒が解消。
完全に勝負ありと言った感じですね…。
最後は右下で試しの手を打つも受け切られて投了。
盤面30目程…黒が勝ってるだろうとのことです。
趙治勲先生「力碁…僕より優れたところが3箇所あった!」
めちゃくちゃ悔しそうでした。
布石で油断したかもしれないっすね。
棋譜:vs Dolbaram
3子局:CrazyStone戦
おっ!?
先ほどははこだて未来大の松原仁先生だったのに
なんと王銘琬先生になっとるじゃないですか!?
1戦目の4子とは違って3子のプロは次元が違ってくるぞ。
CrazyStoneがどこまで食い付けるか。
2局目は趙治勲の星からスタート。
黒のかかりに対して2間高ハサミからの定石っぽい流れになるかと思いきや、黒がやりすぎて白にとがめられ、左上で黒がやや損。CrazyStoneは自分で定石を考えて打てちゃうようなプログラムだけに定石データベース的なものは導入してなかったのかもしれませんね。
少し白が得した形で黒が右に三連星を構えたところです。
36手目。2線の下跳ねに対して黒が伸びた形。
黒はまたポン抜いてなくて気持ち悪い感じですね。
この時点で依田先生曰く「白の勝ちだな」とのこと。
僕が見ても黒がぬるい感じがしますねコレは。
この時点で2子くらいの状態。
白が90%で勝つだろうとのこと。
51手目。黒が曲がりを打たなかったので白が押し上げたところ。
ただ、先に黒が下辺真ん中の大場を打ったことで少しやりにくいかも。
しちょうはまだ抜かず。
うーん。気持ち悪いかも。
58手目・黒7十七を打ったところ。
左下隅がアリエナイ形で取られてます。
黒…ヌルイぞ…
地をしっかりとってから荒らしていく。
趙治勲が好きそうな盤面。
87手目・白が5十六の当たりを打ったところ。
右下に左側から白がかかり…
何故かこんな進行に…
黒がかなりボロボロ。
依田先生曰く、黒を持って勝つ自信がないと…。
プロ的にみれば既に白有利の盤面みたいですね。
右下も33残ってるし黒キツイねコレ。
137手目・白が右下に飛びこんだところ。
黒は無理やり左中央当たりに地を作ろうとしてボロボロ。
モンテカルロが少ない勝率の中で必死にポカ手を誘う時の打ち方をしてますね。こうなったらプロ相手には200%勝てない。負け始めるとモンテカルロは手がぐちゃぐちゃになるから見るに堪えない感じですがコレも仕様。最後まで見届けよう。
最後は白が18十に飛びこんだところで黒が投了。
う~ん。CrazyStoneにいいとこ無しだったのは残念。
…といってもあの趙治勲と3子だからなぁ。
ダメ元でチャレンジ的な感じではあるが
定石ボロボロだったのが少し切ないねぇ。
余裕がある状態だと緩く打つモンテカルロの癖が最初っから出ちゃった感じかもしれません。残念!
まとめ
こういうちょっと色物の試合は見てて楽しい。
今回の3子はキツカッタですが、レミさんのCrazyStoneのベースに、僕もコンピュータ囲碁の研究をしてたこともあって、やっぱりもっと活躍が見たいですね。
コンピュータ囲碁はモンテカルロ法の導入によって一気に強くなりましたが、最近は少し棋力の伸びが緩やかになっているんだそうです。ですがこれからも頑張って欲しいですね。
あと吉原由香里が41歳という驚愕の事実。
美人すぎやで(^ω^*)ふぁー
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